昔読んだ本で、スポーツを様々な角度から科学したものがあった。今回の五輪を見ていて、内容をうろ覚えながら思い出している。
例えば、黒人選手はなぜ足が速く、白人選手が水泳に多いのかを文化的な背景(昔は人種差別でプールに入れなかったとかなんとか)以外で、上半身と下半身の比率の違いをあげている。上半身の比率が大きければ水に浮かべた時、水平に姿勢が保てるために水泳に有利であるから、上半身が長いアジア系、また白人選手が強いと書いてある。一方で、黒人選手は上半身よりも下半身が長いから、スプリント競技では下半身が長い方が有利なために(理屈は忘れてしまった)黒人の独壇場になっていると。
また高地適応した人種が長距離が速いことはよく知られているが、その適応も、段階があって、完全に適応しきってしまった人種はむしろ低地でもあまりパフォーマンスは高くないらしい。遺伝子で適応しきっていなければ、心肺機能でそれをカバーしていて、それがゆえに長距離が速いのだそうだけれど、遺伝子で適応してしまえば心肺機能でカバーする必要がないので長距離は特段速くないそうだ。確か。
面白かったのは、なぜケニア人が速いのかという説明の一つに、ただ家から学校までが遠いからというものがあって、それを証拠に金メダリストの子息が長距離を走っても、普段安全のために車で移動をしているために、さして能力を示さないというものがあった。確かにケニアでは二世選手を見かけない。ただ、裕福になって走る理由を見つけられないということかもしれないと思っていたが、それだけではないのかもしれない。
この本だったかわからないが、下腿部の引き上げ運動の繰り返しがランニングだから、下腿部の体積が小さい人種ほど速い傾向にあるというデータを見たことがある。下腿部の体積が大きく短いモンゴロイドの日本人はよく頑張っていると思う。
昔は、五輪というものは完璧な人間というコンセプトがあったから、どの競技も体型が似通っていたらしい。確かに古代オリンピアのアスリートの石像を見ていると円盤投の選手もレスリングもほとんど同じに見える。それが時代とともに、競技レベルが向上し、特化されるようになり、現在のように体型が細分化されてきたそうだ。
昔仲良くなった中国人が、小さいころ手首の幅を調べて競技を決められたと言っていたけれど本当なのだろうか。彼曰くそれで身長がわかるんだと言っていたが。