1年ほど前だったか、勝利へのセオリーという番組でラグビー日本代表監督のエディジョーンズ監督に取材をしたことがあった。エディが話をしていたことで覚えているのは、リロードという考え方だ。
リロードは装填、つまり素早く前線復帰することを指している。エディの話ではラグビーはどうしても物体が押し合う側面が強いため、物体が重たいほうが有利になるそうで、日本代表は平均して数キロ(記憶が定かではないか)主要な強豪国よりも軽いため、普通に一対一の状況を作るとまず押し勝てない。その為、常に1対2ないしは2対3の状況を作る必要がある。
ラグビーはぶつかっては倒れる競技なので、かなりの時間グラウンドには倒れている選手がいる。海外の選手は体が大きい為に倒れてから起き上がり前線復帰するまでの時間が長くかかるようで、日本はそれを早めることにより数秒間の間数的有利な状況を作ることができる。仮に日本2人(90kg×2=180kg)対海外2人(100kg×2=200kg)が、リロードをしっかり実行すると日本3人(90kg×3=270kg)対海外2人(100kg×2=200kg)ということで押し勝てる。僕の理解ではすごくざっくり言ってそういう話だったと認識している。
エディの戦略の根幹はジャパンウェイと呼んでいる日本ならではの戦略というものだった。
変えられないもの 日本人の骨格(身長などの骨格に定義される体のサイズ)
変えられるもの 素早く立ち上がるスキル。マインドセット。
負けるスポーツチームの多くが変えられないものを変えようと努力しようとする。またはラグビーであれば大きい相手に大きさで勝負を仕掛けたり、バレーやバスケットで高さで競い合おうとする。
同じ勝利へのセオリーで取材した女子バレーの真鍋監督は、身長が大きく影響する最高到達点が低い日本代表を違う視点で眺めた。そして、実はブロックが2枚揃うとほぼスペースがなくなり高さで勝負が決まってしまうが、実はブロックが1枚であれば横にスペースができる為、最高到達点で劣っていても点の入れようがあるという結論に至った。ビックデータから調べるとトスからスパイクまで1.1秒(うろ覚え)で打てば2枚ブロックが間に合わないということがわかり、それより早くスパイクを打つ練習を繰り返しメダル獲得を果たした。
試合を見ていて、画面上に日本の選手の方が多いと感じる局面が多かった。それは僕がエディから話を聞いて認識にバイアスがかかっているからなのかもしれないが、少なくとも僕からはリロードが浸透したように思える。