サンディエゴにいた時によくWillie Banks(元三段跳びの世界記録保持者)と食事をすることがあって、その時に話してくれた二匹の蛙という話がある。
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ある日蛙が二匹穴に落ちた。穴の高さはとても越えられないような高さで、二匹の蛙は必死でその穴から出ようとして飛んでいたが淵には届かない。
そのうちに他の仲間たちが集まってきて二匹を応援し始めた。がんばれがんばれ。二匹の蛙はその声を聞いて頑張ったけれどやはりそれでも淵には届かなかった。
応援の声は次第になくなり、淵から覗き込んでいる仲間たちは諦めの声を上げ始めた。もうだめだろう、仕方ない。諦めた方がいい。そうした声が二匹の蛙にも届いてきて、一匹の蛙はついに跳ぶのをやめてしまった。そして座り込んで静かに死んでいった。
もう一匹の蛙はそれでもずっと跳び続けていた。もうだめだ諦めた方がいいという声が聞こえる中、何度も何度も跳び続けた蛙はついにある瞬間穴の淵に到達し、穴から這い出てきた。
仲間たちは驚き、その蛙の元に集まり、素晴らしい、よくやった賞賛の声をかけた。ところが蛙は仲間たちをぽかんとした顔で見て全く反応しない。仲間たちも怪訝な顔をしてその蛙を眺めている。
穴から飛び出した蛙は耳が聞こえなかった。励ましも、罵りもその蛙には届いていなかった。その蛙にはひたすらに到達すべき出口が見えていただけだった。
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成し遂げたいのなら、世間と距離を置き、ひたすら為すべきことを為せ。という話。