もう5度目になるけれどG1summitに出席してきた。今年はさらにパワーアップしてどのセッションもとてもレベルが高くて、相当に刺激を受けた。みんなそれぞれの場所で頑張っているんだなと思ったと同時に、自分は一体これでいいんだろうかと自分の現状に焦りを感じた。こういう気持ちになったのは今回がはじめてかもしれない。
私の職業は非常にわかりにくい。たぶん平たく言えば、メディアで知名度を保ち、講演、イベント出演、執筆、広告出演、などで収益を得るというモデルなんだと思う。会社で事業をやってはいるけれど売り上げはまだ全体の3割にも満たない。本業はと言われると文化人とか引退スポーツ選手ということになるのだと思う。
世界ジュニアという大会に出たのが18歳の時。今考えれば一番良かったことは世界のトップレベルを体感したということだと思う。本当に高いレベルにいくと人は自分と比較しその差に愕然とする。それで諦める人もいるけれど、もしそれでも勝負したいと思った場合、実は選択肢が絞られ迷いが少なくなる。なぜなら高いレベルでは勝負できるところなんてほとんどないから、数少ない希望が少しでもあるところを探すからだ。私にとってはそれが400Hだった。
多くの領域に渡って活躍していますねと言われる。確かに活動の幅は広い。けれど実際はどれも浅い。普段の生活では上手に誤魔化すからそれがあまり表面化しないのだけれど、本当に高いレベルのものに触れると差がはっきりと現れる。すごい、これは勝てないと考えながら、そういえば引退してから敗北感を感じることが極端に少なくなっていたことに気づく。
結局一番にはなれなかったから別の形でもう一回世界で勝負してやると思って引退したのが3年前。いつの間にかそこそこ生活が回る形におさまり日々を生きている。現役時代には当たり前だった、今日やることは世界につながっているのか、を自分に問うことすらしなくなっている。
サミエルウルマンの詩には老いのことが書いてある。
”青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心,こう言う様相を青春と言うのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。”
各界のトップの人に触れることで、もう一度自分を省みるきっかけになったことを感謝したい。次の400Hを何にするのかをしっかり考えようと思う。