Thinking In The Past.

東京五輪を目指すアスリートの方へ3/14

2020.03.14

新型コロナウイルス(covid-19)の影響で、スポーツの競技会が中止されたり、またトレーニングが満足に行えないなど難しい状況に置かれ、不安に感じているアスリートの方もいらっしゃると思います。そこで余計な老婆心から参考になればと、特殊な状況で五輪を目指すアスリートがどういう心持ちでいればいいかを書いてみます。
もちろん、私は公衆衛生の専門家ではありませんので新型コロナウイルス(covid-19)が今後どんな展開をしていくのかは一切わかりませんから、あくまで一般に手に入る情報を元に頭の中で考えてみました。一アスリートがこの状況にどう対処すればいいかという考え方の参考にしていただければと思います。

新型コロナウイルス(covid-19)の状況は日々変わっていて、どのように動いていくか、専門家の方にも正確にはわかりません。楽観論もあれば、年内は収束しないだろうという意見もあります。東京五輪の開催も日本だけ状況が良くなれば開催できるのかというとそういうわけにもいきません。5月あたりの世界中の状況を見て延期か中止か(その場合おそらく延期だと思いますが)判断するということになるかと思います。また、しばらくは試合も延期や中止、無観客試合になることが想定されます。

当たり前ですが、新型コロナウイルス(covid-19)の動きはコントロールできません。それに対する渡航制限などの政府の方針もコントロールできません。試合が開催されるかどうかも多少の働きかけは可能ですがほとんど影響を与える事はできません。そして、東京五輪が開催されるかどうかもコントロールできません。
そうなると実は選手は気にする事はほとんどありません。要するに五輪または予選会に合わせて練習をし、それまでの試合は抜けるかもしれませんが、それならそれで練習を続けるだけということになります。コントロールできない事はコントロールできないので意識を向ける意味はなく、コントロールできることに意識を向けていれば問題ありません。いろいろ想定しても、結局日々の練習を淡々とするということしか選手にはできませんし、それこそが選手がやるべきことです。
その上で、いくつか意識するべき要点を書いてみます。

1、トレーニング場所を確保する
こういった状況ですので、選手は淡々と練習するしかないのですが、その練習場所の確保が今は大変になっています。ですから、選手の皆さんはまずベースとなるトレーニング場所を確保することをお勧めします。今の状況であればその場所からしばらく移動できなくなることも考えられますので、安心して長く練習できる場所を見つけて確保してみてください。

2、情報と会う人を制限する
情報がたくさんあることは普段はいいことですが、このような状況では情報が錯綜するので精神を疲れさせたり、情報が多すぎて焦って無駄な動きをしてしまう恐れがあります。ですので、できれば情報収集は誰か信頼できる人か機関にお願いし、対応しなければならない時だけ教えてもらう仕組みにするのをお勧めします。SNSは玉石混合の情報が行き交いますので、気になるようであれば一旦停止するか、または発信だけに専念してみてください。一方で選考基準や選考会をどうするかなどはすでに意思決定層近いところでは話し合われていると思うので、それは誰かに頼んでもいいので意識して取りに行ってみてください。早い情報を知ればその分有利です。

3、明日のことしか考えない
どうしても未来のことを考えて不安になりますが、ここまでくると未来を考えることにほとんど意味はないので、今日1日できることだけやり、ご飯を食べてゆっくり寝る。これを繰り返してください。五輪から逆算して考えるのではなく、今日が積み重なっていったらいつの間にか五輪が来た、というイメージがいいと思います。一方で、集中しすぎて自分を追い込みすぎないように注意してください。心の疲労は目に見えにくく、疲労している選手は本番で力を出せません。今日の練習に集中して、練習が終わったら好きなことをやってのんびりすることをお勧めします。自分で思っているよりも2割力を抜くぐらいでちょうどいいです。

以上三点を意識して、あとは喧騒から距離を取り淡々とトレーニングを行うことをお勧めします。新型コロナウイルス(covid-19)の収束を願うのは大前提ですが、競技者としてはこれはチャンスでもあります。局所的でも、自分だけに降りかかってわけでもなく、世界中に降りかかっているものだからです。この状況でパニックになり本来やるべきだったことから目をそらし、心が揺れ勝手に脱落していくアスリートもいます。クライシスでは番狂わせがおきます。クライシスは賢さや勇ましさより、愚鈍さが有利になる局面と言えます。