[:ja]ずいぶん昔読みました。東洋人と西洋人の思考の違いについて書いている本です。
著者は西洋人なので、前書きでも書いていますが、全体を通して東洋人を擁護してくれてる印象です。西洋の見方で見ると東洋人が理解できない時があるかもしれないけれど、それはただの違いでしかないんだよ。あと、西洋人、東洋人てずいぶんざっくり分けてしまっているけど、もちろんアジアだって色々違いがあるし西洋もそうで、だけどざっくりでも分けてしまわないと進められないから許してね。という前置きがあって本が始まります。
例えば、実験で水槽を見せ、何が見えたかを西洋人と東洋人に尋ねます。西洋人は真ん中を泳いでいる大きな魚の特徴を言うそうです。一方で東洋人は水槽の特徴や、周辺を泳いでいる小さな魚、または海藻について話をするそうです。東洋人はいつも全体を見てバランスを考え、西洋人はある一点に集中して意識を向けているからだそうです。
古代ギリシャ人は対象物をいかに理解するかに情熱を注いだ為物事を切り離して観察し、中国人は物事は全て関係していると考え全体を感じ取ろうとしました。対象物を単独で観察し理解する世界と、それをみている自分や関係性を意識する世界の違いとも言えるかもしれません。昔膝が痛かった時にアメリカのお医者さんにいくと、すぐ手術をしようとなりましたが、日本に帰ってきてお医者さんやセラピストに見せると、もしかして腰の歪みが影響しているんじゃないかと言われました。アジア人にとっては痛みは全体の調和の歪みの結果だと捉えることが多いです。医食同源ですね。
変化についても同等に、右肩上がりのグラフをみた西洋人は、このまま伸びていくと答え、アジア人は鈍化または反転すると答えます。人間万事塞翁が馬、物事は常にバランスをとり続けると考えるアジア人の特徴が出ています。
この本を読んで気づきがあったのは、全体のバランスを俯瞰してみてしまうが故にはっきりと言い切れないことを日本人の弱みと考えていましたが、むしろ全体を俯瞰して抽象化して捉えられるのは強みかもしれないということです。中途半端に西洋の土俵で戦うより、関係性や抽象化で戦う方が強みを活かせるのではないでしょうか。ちなみにスポーツの世界では、日本人の鍼灸師やマッサージトレーナーがアメリカのチームスポーツで人気です。患部ではないところにアプローチをしてなぜか痛みをとるので魔法みたいだと言っていた選手もいました。痛みは患部だけではなく全体のバランスを欠いたために起きているとアジア人は考える傾向にあります。全体の調和を重んじるアジア人ならではの活躍方法が他にもたくさんあるような気がします。[:]