[:ja]好きなことをしながら生きていければ幸せだろうなとは好きなことがある多くの人は思うわけですが、その中でも一部の人しかそうすることはできません。いくつの理由からそれが難しいからだと思います。
自分が好きであることと、それでお金を稼げるかどうかは関係がありません。好きだから技能が卓越して他の人よりも評価されやすくなるということはあり得ますが、アーティストが絵が好きかどうかと、その絵がいい絵かどうかは関係がありません。いや好きではないといい絵は描けないという反論がありそうですが、確かにそれは多少はありながらも、好きでも嫌いでもないけど得意だったんだよと言ったオリンピアンもいました。好きとか嫌いとか言っているプロフェッショナルはあまりいません。
対価を払う人がいるから収入になるわけですが、必ずしも好きだからといって対価が支払われるかどうかはわかりません。また好きなことが収入を得る手段になったとしても、どうしても支払う人を意識せざるを得なくなります。図抜けていて何をしても売れるなら別ですが、ほとんどの場合はどうすれば相手が自分の好きなことを買ってくれるのかを考えるようになります。それは必ずしも自分のやりたいことではないかもしれませんが食っていくためにはやるしかありません。
好きなことがみんなとまったく違うというのは実は少ないと思っています。多くの人の好きなことは似通ってくる。話を聞いてみると好きになったきっかけは誰かに憧れたりしていたというものが多く、憧れられる人というのは激しい競争を勝ち抜いた人が多いわけです。好きなことは似ていて、結果として参入者が多いため競争が激しくなり、好きなこと市場の多くは一般的な仕事ではないからみんなが興味を持っているわけで、結果として市場が小さく、好きなことをそのまんまやろうとすると実は激しい競争に巻き込まれてしまうという可能性があるのではないでしょうか。
好きなことと言っている時、実はその中身は、自分らしく表現できる、やりたい時にやれる、みんなから憧れられるという条件が内包されている場合も珍しくありません。好きなことをしたいと思ったけれど、好きなことを続けるために嫌なことや面倒臭いことをしなければならないとは思ってもみなかったという人は案外多いのではないでしょうか。白馬の王子さまのように、どこをとっても完璧なのが好きなことだと思っている人にとっては、おそらく好きなことは収入を得る手段にしないほうがいいでしょう。そんなものはほぼないからです。
結論から言えば私は、好きなことだからといってそれを仕事にしたり、収入を得る手段にしなくても構わないと思っています。もちろん収入を得る手段になるに越したことはありませんが、そうでなくても好きなことは続けられます。
本当に勝ち抜いて、その人が行う好きなことを欲してやまない人たちが一定数いるような状況においてのみ、自由に好きなことを行うという状況が成り立ちますが、それはなかなか難しいように思います。市井の人間にとって大事なことは好きなことにこだわるよりも、様々なものの中に好きな要素を見出し、楽しめるような工夫ではないかと思います。[:]