人生終わったなという言葉をよく言う人がいて、一方で一見終わったような状況でもそう思わない人がいて、いったいその違いはなんだろうかと考える。
例えば、会社をクビになっただけで人生が終わったと思う人もいるし、不祥事が明るみに出たり、自己破産して人生が終わったと思う人もいる。一方で逮捕されても人生が終わったと思わない人もいれば、アウシュビッツで家族もみんな殺されて自分もいつ死ぬかわからない状況で人生が終わったと考えない人もいる。総じて、あいつの人生終わったなとよく言う人は、人生が終わるラインが高いのだと思う。
人生が終わるラインが高い人は、こうでなければ生きていけないというラインが高い。ある一定の収入がなければならないし、日本に住んでいなければならないし、友達からも一目置かれていて、尊敬されていなければならないと思っているとしたら、それは確かに人生が終わるラインは高くなる。その内のどれかが失われることは誰にでも起こりうる。
私の周辺にも数人、どんな状況でも自分の人生は終わらないと考える人がいる。こういう人は、人生が終わるラインが恐ろしく低い。というより文字通り死ぬまで人生が終わらないと思っている。私も平均よりは低いとは思うが、全くレベルが違うほどラインが低い。だからなんというか、印象として恐れがない。
人生は終わらないと考える人の人生は簡単に終わらないのだから、本人にとっては安心感がある。安心感があるというのは現状を維持できる自信があるのではなく、仮に持っているものがなくなっても生きていけばいいという覚悟がある。人生が終わらないための必要条件が多い人ほど、いつそれを失うか怖くてしょうがない。
人生は死ぬまでは終わらない。もしそれより早く終わるのであれば、それはそうでないとならないと自分で決めている基準によって決まっている。人の自由を奪うのは、その基準である。これがないと生きていけないというものから人は自由になれない。
こうでなければいけないという自己イメージが強い人ほど、人生が終わるラインが高い印象があるが実際はどうなんだろうか。