Thinking In The Past.

メダルという指標

2018.02.18

冬季五輪が始まる前、二宮清純さんが面白いデータを教えてくれた。韓国の冬季五輪のメダルに関してだ。1992のアルベールビル五輪(それより前はほとんどメダルがない)から累計で53のメダルを獲得しているが、うち42がスピードスケートのショートトラック、あとの11個はフィギュアとスピードスケートになる。つまり三つの競技、それも主はショートトラックで、53のメダルを獲得していることになる。

例えば、団体競技は複数人を強化しなければならないが、メダルは一つだ。一方でたった一人がメダルを量産する競技もある。マイケルフェルプスは一人で(リレーも含んでいるが)、野球、バスケ、サッカー、ラグビー、ハンドボール、水球、シンクロナイズドスイミング団体、バレーボールで優勝した場合と、同じだけの金メダルをもたらした。リレーを抜いても五つ金メダルを取っている。

また競技人口にも開きがある。ボトムの競技人口でいうと、最も少ない競技と多い競技では一万倍程度(どうやって数を数えているか疑問ではあるけれども)競技人口数に差がある。さらに競技をするだけでお金がかかるものは、必然先進国だけの参加になる。

オプションが多くある競技とそうではない競技がある。例えば体操競技は一度やっておけば、その後エアリアルや、飛び込み、棒高跳び(ブブカとイシンバエワは元体操選手)、トランポリンなど応用が効く。一方でハードルは、その後応用できる競技は少ない。もしただメダル獲得のために息子を育てるとしたら、最初は体操、また球技系、それから複数の競技を行なっておき、10才あたりから徐々に競技を絞り込んでいくだろう。回転系のセンスは後からは獲得しにくい。ハードルは10代後半からでも間に合う。

スポーツ遺伝子は勝者を決めるかで、2m13cm以上のアメリカ人のうち6人に1人がプロバスケットボールプレイヤーだという興味深いデータが書かれている。100年前に比べスポーツはかなり特化されてきていて、身体的に向いていないものでは勝負が難しくなっている。反対に身体さえ向けばかなり確率が上がる。

もしメダル数だけを指標にするなら、実は打つ手はたくさんある。だが、それが実現した時に本当に国民が熱狂しているかどうかはわからない。私はメダル数以外の指標を作るべきだと思っている。メダリスト数や、または国民の感情総数など。

ちなみに人口とGDPでメダル数の半分ぐらいは説明できると言われている。すでに勢力の変化を画面で見ることができる。